地球の反対側で見る星空を想像する

 


「地球の反対側で見る星空を想像する」

ニュージーランドが舞台の本を読んでいて、その中で
英国からニュージーランドに来たばかりの人物が夜空を見上げて
オリオン座がさかさまだと気づくシーンがあり、ハッとする。

星座が逆さまとは!

南半球だから、空の見え方が違うのは当たり前なのだ…けど
頭ではわかっているが、実際にその場に身をおいたら
びっくりしてしまうのではないか。

太陽も月も惑星も、東から上り、北に高く輝いて、西に沈む。
見かけは進行方向がいつもと逆に見えるということだから
南半球に来たことをうっかり忘れていたら
西から登ったおひさまが…というように「感じる」のでは。
異世界だ。

ホロスコープはどうやって作るのだろう。
ホロスコープは黄道の位置での空の輪切りなわけだが
その輪を反対側から見てるみたいになるから
サイン(占星術上の「星座」)の順序を逆周りに書いた方がいいのか?
ASCが右にあるほうがわかりやすい?
(試しにastro.comでシドニーでチャートを作ったみたけど
いつも通りにできる。
鏡に写すと実際の空になるのだと思う…たぶん。
合ってるかな…?だいぶ混乱している。)

そんな見え方がひっくり返った場所で
そもそも西洋占星術の意味は成すのかな。
牡羊座に秋分(秋の始まり、と定義するなら)天秤座に春分がくる。
季節感が逆になり、ひっくり返った
コンステレーション(空に浮かぶ「星座」)が浮かぶなら
サインの象意は同じでいいのだろうか?
例えば、一番寒い時期に太陽が獅子座に入る季節が来るけど…。

と思うと私の知ってる占星術は
地球の北半球におおよその陸地、そして人間がいて
ほとんど同じように見える空の下にいたという
共通したベースがあるから成り立っているのだろうな。
南半球には別の「星の見方」があるのではないか、とも想像したりする。
もし南半球で占星術が発達したなら
まったく別のサインと象意だったかもと。
私が知らないだけで各地の空の見え方に呼応した
占星術があるのかもしれない。

ちなみにこの時読んでいた本は
『ルミナリーズ』(エレノア・キャノン/安達まみ訳)という推理小説で
表紙にホロスコープが銀で箔押しされている美しい
…だけどとても分厚い本。
占星術がわからなくても読めると思うけど
占星術がわかる人が読むと何倍も楽しいと思う。

(推理小説なのでここでは内容には触れません。ネタバレなし)

登場人物が各サインがふられた12人、太陽、月、惑星がふられた人々、
それぞれの人物像が占星術上の象意と結びつけられている。
(著者はこのサインに何か恨みでもあるのかな?っていうくらい
良く書かれてなくて、ちょっと笑っちゃうところもあるけど…)

そして(実際の舞台設定となっている日時の)ホロスコープが扉に掲載され
その星の動きと呼応するように物語が進められている。
各章のタイトルも、ホロスコープ上の星の動きと矛盾のないように
進めてあるらしく…凝っている。

一番最初に私が気になったのは、表紙のホロスコープの
サインの順序が「逆向き」であることだった。
(そしてオリオン座のくだりで、舞台のニュージーランドが
南半球にあることを思い出したので、だからかな?と思った。
別の理由かもしれないけど)

二番目に気になったのは、最初の「読者への覚書」というページ。
ここに歳差運動についての説明がある。

*歳差運動の一般的な簡単な説明:
占星術が生まれたときは牡羊座に春分点があったけど
天体運動により少しずれて魚座にずれましたよ
これからさらに水瓶座にずれますよ(これがいわゆる水瓶座時代のこと)
だけど占星術では、現代でも古代から伝わる牡羊座春分点を使用するので
実際の星空とホロスコープはズレています

という一般的な説明のことかな、と思ってさらりと読んでいたけど
あとあと出てくるホロスコープの日付と太陽星座が
ずれていることに気づき、あ!となる。
どうもこの本では、春分点のズレを実際の空と合うように修正し
ホロスコープ上に反映させてあるらしい。
そんなホロスコープを初めてみたのでびっくりした。

このように細部がマニアックな雰囲気なのだけれども
賞も受賞している(ドラマ化もされているらしい)
メジャーな作品のようです。
分厚いけど、先が気になって一気にめくってしまいました。

写真は山で咲いてたコンステレーション的花。
名前は知らない。



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