紫色の秘密


音楽を聴いて、風景や色が浮かぶことがある。
これは子どもの頃からで、誰でもあることだと思っていたけど
この話をすると不思議がられるので
誰でもではないのかな、と最近気づいた。

どんな音楽でも、ではなく
ものすごく自分の内側と共鳴、というか
感動した時だけ「見える」ような感じがする。
気のせいと言ってしまえばそれまでなくらいの感覚的なものだ。

Sally Lunnさんの「菩提樹の下で」を聴いていると
「紫」のヴェール、覆われた美しい布、垂れ幕?…
金色の刺繍みたいな模様がついているもの(けっこう具体的)
それがどんどん開いていく
そこに何が隠されているのかまでは見えないけど
とても美しい重要な秘密が明かされゆく…緊張高まる…
みたいに感じるものがあって
(何分何秒すぎから開く!という感じまで、ありありとする)
自分でもなんのことかわからず、不思議だなと思った。
とても神秘的な美しい旋律。

それでSallyさんに
「こんな謎の感覚があるんです。
何分何秒すぎたところで紫の幕が…ゴニョゴニョ」
とお伝えしたら、面白いお返事をいただいた。

その曲はヨーロッパの古い曲で
(どの国のどの時代だったか聞いた気がするのに忘れてしまった)
菩提樹の下での男女の官能をテーマにした曲なのだと!
そうなのか…。隠されていたのは生命の神秘だったのかしらと。

菩提樹は、シュトルル『ケルトの植物』によると
愛と平和の女神の木、親しみやすく
その下で人々が遊び、踊り、愛を語り
結婚式を開く木なのだそう。

紫色、
アレイスター・クロウリー『777の書』から一つの解釈をすると
(この本は複雑で、一つの事象に対し多義的なものを含ませているので
私がこれだと思った部分の解釈)
「青」は空の色、天上的なもの、精神世界のもの
「赤」は血の色、この世的、地上的なもの、動物的原理
そして「紫」はこれらが混ざり合う。
血や動物的なものを通して現れる、天上的存在を指すと。

対極的な二つの異質が交わり、新しい色を作るということ。
もともとの単独では現し得なかった化学反応的な、結合の体現。
もちろん男女の話だけではない、世界の理としての。
この曲に含まれた神秘が
私の中の何かに触れ「紫色の幕」として現れたなら
なんとよくできているのだろう!と。
(ここから蠍座のカードの色の「紫色」へともつながっている。)

ここまでが夏から初秋のお話。

そのすぐのちに
津木野由芽さんの『人魚姫の花』という本と出会う。
ここにも「色」が示唆される。
対極の「赤」と「青」がもう一方を望み、「紫」へ憧れること
二つのもののうちの一つが抱く、切なる望みと代償と
そのさきの透明につながること。
由芽さんの豊かな表現力で
その葛藤と昇華が深く美しく綴られていた。

この短い期間に「紫」と何度も出会う不思議を思いながら。




そして先日、ようやくアンデルセンの『人魚姫』を読むことができた。
子どもの頃読んだ本はアレンジされていたので原作はおそらく初めて。
こんなに生々しいほどに色や感情に溢れたお話だったのかと。
そして王子と花嫁の婚礼のベッドのテントは
「金とむらさきの幕」だった。

偶然かもしれないけど。
いつか意味がわかる時が来るだろうか。
絵を描くとき、色は直感的に置いていき
意味を含んでいない(自分でも意味をわかっていない)ことが多くある。
だけど、もしかしたら、不思議な意味が含まれているのかもしれない。





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