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『憑霊信仰論』を読む&いざなぎ流のかみ・かたち

図書館でみかけて手に取ってみた本、『憑霊信仰論』(小松和彦著 伝統と現代社 1982)。 オカルティックなタイトルではあるけど文化人類学者・民俗学者の方の論文集で、憑きもの(犬神や座敷童のような)や山の神、山姥、陰陽師などを調査・研究したもの。 そういうものが実際にあるかどうかという問いは置いておいて、人々が暮らしのなかで論理的説明がつかない不条理な場面(病気や事故、家の繁栄や衰退)に遭遇した時、論理的説明がほしいという気持ちを解消するために生み出した文化としての憑霊のあり方を探る。現地取材や、文献の例なども興味深い。 高知県物部村の「いざなぎ流」に興味があって、というのも切り紙細工がとっても細やかで魅力的なので調べたりしていたので、この本でも取り上げられていることが読んでみた理由。陰陽道の表と裏が少しだけ垣間見える。 昔の人々が「妖術」「呪術」「祈祷」そういうものをどう受け止め生活していたのか、楽しく読む。日本各地の文化も知らない不思議が多くて面白いなあ。 * この本を読んだのち、著者の方のことを調べたりしていたところ、タイムリーにも横浜人形の家でいざなぎ流の御幣の展示会をしていることを発見。先日行ってみた。 想像していた通りの非常に繊細な切り紙細工で、表情もなんともいえない。手仕事の面白さ。細ーく切って、フニャフニャと折りを入れられているところ多く見られるのだけれど指で折っているのかな?と思うととても細やか。ひとつひとつの存在に意識みたいなものが宿っているような、まじないをする人、指先でつくった人は少なくともそう思っているような。紙という素材の持つ柔らかさ、風で揺れる軽さ、汚れのない白の清々しさが生かされているような気がする。花や月や馬?みたいなものも。 現代を生きる人はまじないを忘れたのだろうか。憑霊はもう要らないのだろうか?それともこっそりと、どこかで根深く生き続けているのだろうか。そんなことを考える。 自分が生まれる前に出版された本を偶然手にして、今目の前の展示会を観ているというのは、なかなか不思議な縁を感じたのでした。この展示は7/21まで。 (写真OKの展示で、お客さんが写っていなければSNSにあげてもOKとのことでした)

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